性別をこえて「ジェンダーニュートラル」が教えてくれること
大和撫子と大和男児。あるいは、益荒男(ますらお)と手弱女(たおやめ)。日本には古くから男女それぞれにあるべき姿が設定されていました。それが正しいことだったか、良かったことだったかは置いておいて、歴史的にそのようであったわけです。
ではこの先はどうなるでしょう。文化は一朝一夕には変わりません。しかし社会は少しずつ変容しているように感じます。白黒つけないままグレーでいられる社会に成熟していきつつあるように感じるのです。
性別を区別しない先にあるもの
LGBTQという言葉もかなり広まってきましたね。本人の性自認はすべて合致することもあれば、しないこともあります。これまでの社会にはこういったあいまいさを受け入れる余白がなく、性別は男女どちらかで区別されてきました。しかしほんの少しずつにではありますが、本人の性自認を大切にする、あるいは男女の区別に当てはまらないという自認、男女という区別を拒否するという自認を受け入れていく時代へと変わってきています。そもそも男女という性別の区分に何の疑問も抱かなかったところから、果たして性別とは一体何なのか?と考えるに至ったということだけでも大きな変化です。
性自認の問題だけではありません。ファッションやコスメについても性別をはっきりと区別する時代からユニセックス、ジェンダーニュートラルへと進みつつあります。
難しいのは、ジェンダーニュートラルはこれまでの男女らしさの否定ではないという点です。「女らしい」とされてきた姿が悪いわけではありません。女性は女らしくしなければならないという先入観から抜け出し、性別ではなく個々を尊重していくことが大切だということを理解しましょう。
世界は具体的に動き出しています。英語では職業や固有名詞に「man」が使われているものが「person」や別の表現に置き換えられました。日本語の「看護婦」が「看護師」になったのも同じ流れです。機内アナウンスでよく聞かれた「Ladies and gentleman.」も廃止されましたね。英語の三人称単数形代名詞には「he」「she」しかなく、男女共通の単数形がありません。以前は「he」でこれを表していましたが、今では「they」を使うという用法が一般的になってきました。スウェーデンでは「hon(彼女)」「han(彼)」に加えて性別を区別しない「hen」という新しい言葉が生まれ、社会に定着しているのだそうです。
美容面に目を向けてみましょう。美は女性だけのものではありません。男性にも、そうでない人にも、すべてのジェンダーの人が美を目指すのは当然のことです。
この先はメンズコスメが女性向けのように充実していったり、あるいはジェンダーニュートラルコスメというカテゴリが出現したりするのかもしれませんね。男性でも女性でもそうでない人も、好きなスキンケアをして好きなメイクをして好きなファッションを楽しむ。グレーを許容し、どんな人にでも居心地よく生きていける社会になっていく未来を楽しみに、まずは今日のスキンケアを頑張ってみましょう。
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