「コロナ太り」に負けないシステムを作る
コロナ禍となって間もなく2年。以前の生活を忘れてしまったわけではないけれど、新型コロナウィルス感染症による社会の変化にも慣れた人が多くなっているようです。
「食べたい」を我慢するのは至難
そんなコロナ禍で日本では約4割の人の体重が増加したのだとか。外出や出勤が減ったことによる運動不足、自宅食の充実からくる摂取カロリーの増加といった要因が考えられます。運動と食事で比べると、圧倒的に食事が体重の増減に強く関わっていると考えられます。
ここで、運動による消費カロリーとパクッと一口食べるスイーツのカロリーを比べてみましょう。
例えば体重50kgの人が時速6キロで1時間ウォーキングすると、消費カロリーはおよそ250kcal程度となります。250kcalというと大福やドーナツで言えば1.1個、スナック菓子60g入りの0.8袋、ショートケーキだと0.7個分相当です。おやつにぺろりと食べているカロリーを消費するには思っているよりもたくさんの運動をしなければならないことが分かりますね。
その一口を「食べない」でいられれば、余計な体重増加はしないかもしれません。ところが人間の意志の力は意外に弱く、食べたい気持ちになってしまうと我慢しようという心とは裏腹についつい食べてしまうことになりがちです。
「コーピング」で食欲をコントロールする
意志の力が弱いと嘆いていても、体重の増加はなかなか止められません。そこで発想を転換して、「意志」に頼らずに食欲をコントロールするシステムの構築を目指してみましょう。メンタルヘルス分野で使われる「コーピング」という手法を応用します。
コーピングは英語の「cope(対処する)」に由来するストレス対処法です。
「食べたいという気持ちを我慢しなければならない」というストレスに対して、あらかじめ考えておいた「すぐにできる気晴らし」で気をそらし、実際に食べるという行動を抑制するわけです。
この気晴らしの方法をたくさん持っておくと、それだけ余計な一口を回避できる可能性が高まります。
例えば、台所や洗面台の蛇口をピカピカに磨く。丁寧に歯磨きをする。ハンドクリームを丹念に塗る。折紙で鶴を折る。その場で1分間ジャンプする。こういったすぐにできて、かつ集中できるちょっとした作業で食べたいという気持ちをいったん脇に置いて、気持ちを別の方向に向けることができれば、高い確率で食べないまま過ごせます。
そのようにして「食べないでいられた」という成功体験が積み重なれば積み重なるほど、このシステムは強固に働くのです。
増加した体重を減らしていくには、さらに積極的な食事内容や量のコントロール、運動量の増加などが必要でしょう。しかしこれ以上体重を増やさないためであれば、コーピングは有効そうです。
意志の強さに頼らず、食欲をシステムでコントロールするコーピング。試してみる価値は十分にありそうです。