消化の始まりは口ではなく脳である
毎日おいしく食事を摂れていますか。
夏の暑い時期や季節の変わり目などは食欲がわかず、しっかり食べるのもなかなか難しいことも多いですよね。あるいは心配事やストレスなどにより、食べた方がいいのは分かっているけれどもどうにも食事がのどを通らないという状況に陥ってしまうこともあります。
食事がおろそかになると、肌に影響が出るのはもちろん、健康が損なわれてしまう可能性があります。
そして実は「ちゃんと食べているつもり」でも充分に栄養が吸収されないという落とし穴もあるのです。
消化の効率は自律神経が左右している
ちょっとレモンを絞るところを想像してみてください。梅干しを一つ口に放り込むイメージでもいいです。じゅわっと唾液が出てきましたか。
想像するという脳の働きにより、唾液を分泌するという物理的な反応が引き起こされます。
この例のように消化を促進する方向であればよいのですが、実は無意識な状態でも消化を抑制する方向の反応が引き起こされてしまう場合があります。
それが、ストレスです。
ストレスを感じると唾液腺の活動が抑制されます。唾液に限らず、胃液などの消化液の分泌もリラックス時に比べて減少してしまうのだそう。さらには胃や腸の動きも鈍くなってしまいます。
これは、ストレスが自律神経の交感神経系を刺激することが原因です。交感神経が優位になると消化は抑制されます。本来であれば食事の時間はリラックスして副交感神経優位としたいところなのに、ストレスのせいで副交感神経優位へと転換できなくなってしまうのです。
これではせっかく栄養豊富な食事を摂ったとしても、十分に栄養を吸収できない恐れがあります。食べ物は口に入ればよいわけではなく、そこからいかに栄養を吸収するかも重要なのです。
食事前にすぐできるストレス緩和法
出来ればストレスを忘れて食事に集中し、食べたものからしっかり栄養を吸収したいですよね。
食事前に簡単にできる、ストレスを緩和するいくつかの方法をご紹介します。
一つ目は腹式呼吸です。腹式呼吸は副交感神経を刺激し、内臓の動きを活発化させます。食事を前にして「これから食事の時間だ、リラックスしてしっかり栄養を吸収しよう」と自分に言い聞かせるように意識して腹式呼吸してみましょう。
二つ目はいつもよりも多く意識して噛むことです。一口ごとに箸をおいて、しっかり噛んで味わいます。何となく食べているときとの歯触りや香り、味わいの違いを感じてみてください。
最後は、スマートフォンやテレビから離れて集中して食べるという方法です。上のしっかり噛むことにもつながりますが、食事を目で見て耳で聞いて口で味わうと食後の満腹感と満足感が高まるのだそうです。
同じ「食事をする」という行為でも、早食いやながら食べでとりあえず食べ物を口に放り込むのと、五感を研ぎ澄まして味わい尽くすのでは大きな違いがあります。
毎日毎食は無理でも、ときにはこのような「食事体験」に没入するような食事ができると良いですね。その食後にはこれまでにはない満足感、幸福感が待っているかもしれません。
コロナ禍により、大勢でワイワイと食事をする楽しみは大きく奪われてしまいました。
しかしこの逆境を逆手にとって、一人で食べる食事そのものを満喫してみましょう。栄養がしっかり吸収され身体に行きわたれば、より健康、より美肌へと近づけそうです。