その手荒れ、実は病気なんです
日常生活の中で、私たちは特に意識はしていなくても常に手を使っています。手を使うことでさまざまな刺激を手に受けることになりますが、それによって手に起こる湿疹が「手湿疹」です。もっとも身近な皮膚病の一つといえます。
手湿疹の症状は、指先や指腹、手のひらの乾燥、亀裂といった「荒れ肌」になるタイプがもっとも多く、その他、かゆみの伴う小さい水泡が多発したり、かさつきや皮がむけてきたりするタイプ、手や指の背側がかゆみを伴い湿ってジクジクするタイプなどがあります。
冬になると症状が悪化するケースが多いですが、大部分の人はハンドクリームでセルフケアするなどして乗り切っているようです。しかしひどい症状の場合には思い切って医師に診てもらうのもおすすめです。たかが手荒れ、されど手荒れ。まずは「手荒れは病気だ」という認識を持ってみましょう。
原因は水仕事だけではない
手湿疹の原因は多種多様ですが、原因の約7割を占めるのが物理的・化学的な刺激です。最も代表的なのは水仕事。コロナ禍以降は激増している手洗いや消毒も原因となります。また、日常生活で使うパソコンのキーボードやゲーム機のコントローラー、スマホや楽器などの使用による刺激が原因となることも少なくありません。水を使わなくても物理的刺激が手荒れを引き起こすなんて、驚きですよね。
アトピー性皮膚炎のかたは刺激に敏感で手湿疹を起こしやすいだけでなく、症状が悪くなりやすい傾向があるので注意が必要です。また、化学物質などのアレルゲンに対するアレルギー反応が原因となる場合もあります。例えば、ゴムやビニール手袋、アクセサリーやスマホの金属部分、職業と関連するもので、パーマ液やヘアカラー(ヘアダイ)、食品に含まれるタンパク質などが手に触れた際に起こるアレルギー反応などです。
基本は処方薬
治療は医療機関で処方されるステロイド外用薬が基本になります。ステロイド外用薬にはいくつか種類があり薬効に強弱があるので、症状の強さ・部位などを考え、使い分けられます。また補助的な治療として、手の乾燥に対するヘパリン類似物質含有・尿素含有の保湿剤や、ひび割れやジクジクした状態に対する亜鉛化軟膏などの併用も効果的です。かゆみが強い場合は、抗アレルギー剤の内服なども併用されます。症状が長引く時には、原因を見つけてそれを取り除くことも重要です。生活の中で手指に負担がかかっている場面が多くないか確認してみましょう。
空気の乾燥が進む寒い時期に限らず、ゴム手袋の着用などで水や洗剤に触れる時間をなるべく短くしてみてください。水仕事や手洗い後にハンドクリームなどでこまめに保湿することが一番の予防法です。外出の際にはハンカチとセットでハンドクリームもカバンに入れてくださいね。