パーソナライズド化粧品は主流になりうるか
自分がどんな肌なのか?
美容というのは実に奥が深いものです。
今使っているスキンケア商品はどのようにして選びましたか。しっとり・さっぱり、美白、エイジングケア、敏感肌用など多種多様な商品から一つを選び出すのは大変でしたよね。
しかも肌の状態は人により千差万別で、同じ敏感肌の人でもこの商品は良くてこの商品はダメ、ということが起こりえます。もっと言えば、自分の肌のことも良くわからない人も多いかもしれません。
自分の肌なのだから自分が一番わかるだろうというのは早計です。吹き出物がある、シミが出てきたといった現に見えている肌トラブルは把握できても、脂性肌なのか、実は脂性乾燥肌なのか、さらに敏感肌なのかという点について自分で判断するのは難しいですよね。
美容カウンターやエステ店でプロに肌を見てもらうのが一番ですが、予算的にもなかなか難しい人も多いでしょう。実際に自らの肌タイプを誤解している人は少なくないと言います。
そんな中で、いわば野性のカンとでもいうべきもので商品を選んでいるのではないでしょうか。
技術革新によるパーソナライズ化の波
近年の人工知能の進化には目を見張るものがあります。通信技術も発達し、5Gの普及も進んでいきます。IoT(Internet of Things モノのインターネット)の拡大により、スマホだけではなくあらゆるものがインターネットに接続される未来はそう遠くないうちに訪れるのです。実は現在は第四次産業革命の真っただ中と言われています。変革の時代を目の当たりにしているなんて、ワクワクしますね。
さてそのような技術革新により、美容業界にもパーソナライズ化の波が押し寄せています。
手元のスマホで「肌診断」と検索してみると、たくさんのサイトがヒットします。意外な診断結果に驚いたり、思った通りと納得したり。複数の肌診断を組み合わせれば、より自分の肌を的確に把握できそうですね。
一歩進んで、実際の肌を測定し何百万通りの中からピッタリのものを選ぶ、もはや選ぶというよりも調合してくれるサービスもあります。
スキンケア商品に限らず、似合う色をセレクトしてくれるサービス、好きな香りを提案してくれるサービスなど、パーソナライズ化は拡大し続けているのです。
パーソナライズ化の弱み
ではパーソナライズド化粧品は、今後主流になっていくのでしょうか。
これは簡単にYESとは言えません。
化粧品はこれまで大量生産が基本でした。生産ラインも販売の仕組みも、需要を予測して大量に生産しておき、商品を在庫としてストックするシステムをとってきたわけです。
しかしパーソナライズド化粧品ではこのアプローチをとることが難しくなります。多種多様な中から選ぶ、あるいは注文を受けてから製造するオーダーメイドなので、大量生産できないのです。加えて商品数が増えるため、品質管理や安全性の確保の面も煩雑になります。
価格も大量生産品に比べると高額な傾向があるので、すべての消費者がパーソナライズド化粧品を選択するとも言えません。個人に対応した製品であるために口コミが弱いという特徴もあります。これまでのシステムにとって代わる可能性は、現段階では未知数といえそうですね。